当院で行う小児耳鼻科の内容
耳や鼻などの構造・機能が発達の過程にあったり、免疫力が不十分なことから、お子さんは鼻水が増えるとすぐに中耳炎を併発してしまいがちです。また、言葉にして症状を訴えることが難しいため、受診が遅れてしまうことも少なくありません。また、言葉にして症状を訴えることが難しいため、受診が遅れてしまうことも少なくありません。
当院では小学低学年までは、鼻かぜあるいはアレルギー性鼻炎症状がひどく、鼻すすりをしている子供にはファイバースコープにて中耳炎の有無を観察し、鼻汁をしっかりと吸引するよう努めています。1歳未満(とくに6か月未満)のお子さんは、鼻がつまると口呼吸が不十分なため、ミルクの飲みが悪くなりがちです。
症状の程度にかかわらず、お気軽にご相談ください。鼻水の吸引だけ、耳掃除だけでもご利用いただけます。
耳鼻咽喉科と小児科どっちに行ったらいいの?
耳鼻咽喉科では、“耳、鼻、のどの診療”をします。一方で小児科では、“子どもの病気全般”を診療します。
では、お子さんが体調不良を起こしたときには、どちらの診療科を受診すればよいのでしょうか?
答えは、そのときの症状で判断するとよい、ということになります。
耳、鼻、のどの症状が現れている場合には耳鼻咽喉科を、手足口病や咳症状が現れている場合には小児科を受診するといったように使い分けると、より適切な検査・治療が受けられると言えます。
保護者様が一番迷われるのが、お子さんが風邪をひいたときです。クリニックごとに差がありますので、まずはかかりつけのクリニックに相談してみるのが良いでしょう。
なお当院では、鼻水の性状(透明か混濁か)、のどに流れているか、中耳炎を併発しているかなどを直接観察することで、より症状に合った細やかな治療・処方ができるようにしています。鼻水の吸引にてその場で症状を和らげることができるのも、耳鼻咽喉科の強みです。
風邪
風邪の9割以上はウイルスへの感染を原因としています。溶連菌、インフルエンザ菌(ウイルスではありません)などの細菌が合併している場合もあります(咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎)。
鼻水、鼻づまり、咳、発熱などの症状があるときにはお気軽にご相談ください。
特に小さなお子さんの場合、風邪を長引かせることで急性中耳炎に進展するケースも多くなります。
風邪には抗生物質が必要な場合とそうでない場合がある?
風邪の原因のほとんどを占めるのが、ウイルス感染です。
抗生物質は細菌に対して効果があるものですので、基本的に風邪の治療には適していません。ただ、数こそ少ないものの、溶連菌などの細菌に感染したときには、すみやかに、適切な量の抗生物質を投与することが大切です。
当院では、数分で検査結果が得られる、溶連菌の迅速検査を実施しております。
中耳炎
子どもは中耳炎になりやすい
中耳炎の中でも特にお子さんに多く見られるのが、耳の痛みや発熱を伴う急性中耳炎です。小学校入学までに、6~7割のお子さんが一度はかかると言われています。
鼻の奥から中耳へとつながる管“耳管”が大人と比べて太く短く、また傾斜が緩やかであるため、細菌やウイルスが中耳に入り込みやすくなることが大きな要因です。
急性中耳炎
細菌やウイルスが耳管を通して中耳に入り込み炎症を起こします。ほとんどが風邪をきっかけとして発症します。
強い耳の痛み、発熱、耳垂れなどの症状を伴います。
痛みで泣き止まない、耳を気にする・触る、不機嫌が続くなど、お子さんの仕草や機嫌の変化にも気をつけてあげてください。
治療法
軽症の場合には、鎮痛剤を使用して経過観察し、十分な効果が得られない場合にのみ抗生物質を使用します。
中等症以降の場合には、抗生物質を使用して経過観察し、必要に応じて抗生物質の変更を行います。
急性中耳炎を何度も繰り返してしまう場合には、鼓膜切開を行います。通常、鼓膜は1週間程度で元通りに再生します。
滲出性中耳炎
アデノイドの肥大、鼻すすりなどを原因として、中耳が真空のような状態になり、周囲の組織から液体が滲み出し中耳に溜まってしまう病気です。
難聴、耳閉感(耳が詰まった感じ)などの症状を伴います。
治療法
鼻加療(吸引治療)、ネブライザー療法、マクロライド系抗生剤の少量長期投与、抗アレルギー薬や粘液調整薬の投与などを行います。
これらの保存療法で十分な効果が得られない場合には、鼓膜に小型のチューブを設置して換気を良くする「鼓膜チューブ留置術」が必要になることもあります。子供でアデノイド扁桃増大(鼻の奥の扁桃組織)あれば、合わせて切除することもあります。
全身麻酔が必要な小児において、手術が必要になった場合には、手術設備の整った医療機関をご紹介します。
耳垢
耳垢が溜まっている、気になるときには、耳掃除だけでも受診していただけます。お気軽にお越しください。
なお、耳の穴に耳垢が詰まってしまった状態を「耳垢栓塞」と言います。耳掃除で耳垢を奥に押しやってしまったり、耳に水が入って耳垢が膨らんだりして起こり、難聴、耳閉感などの症状を伴います。
耳鼻科で耳垢を除去してもらえば、すぐに症状は改善します。お子さんご自身や保護者が処置をすると、耳垢がさらに奥へと入り込んでしまうこともありますので、無理をせず受診してください。
家で耳掃除をして出血してしまったら・・・
お子さんの耳掃除中に出血があった場合には、すぐに耳掃除を中断し、お早目に当院にご相談ください。
放置していても出血そのものは治まりますが、感染のリスクが残ります。また、かゆみから手でかさぶたを剥がしてしまい長引くと、それだけ感染のリスクも高まります。